ジブリの大博覧会に行ってきたはなし

福岡市博物館ジブリの大博覧会ネコバス

ねこバスはただ今「ふくおか」に停車中。

 

先週、九州在住のクリエイターに会うために数日間博多に滞在していて、その際に福岡市博物館にて「ジブリの大博覧会」が開催されていたので勉強に行ってきました。

パンフレットの巻末には2015年初版とありますので、何年も各地で開催されていて、たまたま博多で出会ったという次第。すでに観られた方からすると今更の内容かと思いますが、そこはまぁご容赦ください。(次は2019.09.08から沖縄県立博物館・美術館だとか〜)

●スタジオジブリWEBサイトの「ジブリの大博覧会」ページ

もちろん僕もジブリ作品は折に触れ鑑賞しているのですが、熱烈なジブリファンというにはおこがましいレベル。ツイッターで「バルス!」とかもやらないし、まだ観ていない作品もあったり。でも観たものは大体好き。「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」「魔女の宅急便」「もののけ」「千と千尋」etc「ポニョ」と「ハウル」はあんまり分からなかったけど。

何の前情報もなく、たまたまポスターを見かけたのでさくっと行ってみたのですが、中々に興味深い内容となっておりました。見に来ているお客さんは主にお子さん連れのご家族、友達同士の女性ファン、単独男性ファンといった感じ。あと、海外の方も結構多かったですね。たまたまか、わざわざかは分かりませんでしたけど。小さい女の子が「トトョ〜」なんて指差しながら楽しそうにしているのはとてもかわいかった〜。

福岡市博物館ジブリの大博覧会展示物

博覧会の内容は、キャラクターなどの絵やアニメーション関連が中心かと思いきや、以外にも作品のコンセプトワークやプロモーションの経緯など宮崎駿監督の仕事はもちろんですが、どちらかと言えば鈴木敏夫プロデューサーの仕事が沢山紹介されていてデザイナーとしてはとても勉強になる内容でした。ポスターやロゴデザインのラフや展開プランなどはとても興味深かったです。そういう資料を拝見していると、自分だったらこんな感じで、ああしてこうして・・・なんて勝手にデザインを想像してみたりして。

特に面白かったのは、鈴木プロデューサーと「トトロ」〜「ゲド戦記」までコピーライティングを担当されていたかの糸井重里さんとの手書きの書簡。おそらく当時FAXにてやり取りしていたものだと思われますが、手描きの文字には様々な表情があり、キャラクターはもちろん、その作品に対する思い、状況、苦悩、喜びなど様々なことが伝わってきて、昨今のメールでのやり取りは便利な半面、気持ちが伝わりにくくなっているんだなと改めて感じたりもしました。

「もののけ姫」では、名コピーライターの糸井さんでさえも何を表現すべきかということを掴みきるまでに何度も推敲を繰り返し、悩み苦しんでいた様が赤裸々に綴られていて、観ている僕も何だか苦しくなりました…。やはり世界の中でもトップクラスの高いレベルのなかでは、プロ中のプロであっても、もがきながら作品を生み出している現実、最高のクオリティが求められるのだという厳しさが見えてきます。そして、生み出されたコピーは「生きろ。」これ以上シンプルで力強く作品を伝える言葉はないですよね。

鈴木プロデューサー曰く、宮崎監督は「今に正直な人」とのことで、過去にどう言っていようがちゃぶ台をひっくり返すことは日常茶飯事。ダメなものはダメ。やはり天才とはかくありき。自分の思うもの、目指すものには妥協なんてしないし、それを興業として成り立たせていく鈴木プロデューサーもまた類い希な手腕の持ち主だからこそ、世界に愛されれる作品が生まれたんだと改めて納得。あの天才本田宗一郎さんも、藤澤武夫さんという相棒がいてこそ、世界のHONDAになったっていうのと似ているのかもしれません。

もう一つの見どころとしては造形作家の竹谷隆之さんによる「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」。(※実際の制作には様々な方が関わって作品を制作されています)おなじみの「ムシ」達がとてもリアルに再現された素晴らしい造形物が展示されています。デカイ王蟲の眼が青く輝いていてかっこ良いし、その他にも「ウシアブ」「 ムシゴヤシ」「ヘビケラ」「ミノネズミ」「大王ヤンマ」などなどがキモ美しくそこに存在しています。

こういうリアルな造形物が、2D映画(マンガも)の世界を押し広げ、作品の奥行きを増していくんだと思います。小さい子供はちょっと怖いかも知れないけど、ムシ好き少年なんかはきっと感動するんじゃないかな。僕は感受性の強いヘタレ少年だったので、観たらきっと怖い夢を見て泣いていたと思いますけど(笑)。

最後にパンフレットを購入しましたが800円と良心的。今時、同価格帯の映画のパンフなどはひどいのが多いですが、ポスターや新聞広告、ロゴデザイン、コピー案など資料的に価値のあるものが沢山収録されていて、特にコンテンツ系に関わるクリエイターには資料的価値の高い内容じゃないかなと思います。今後観に行かれるクリエイターにはぜひお勧めしたいです。

 

ジブリの大博覧会のパンフとチケットの画像2

 

ジブリの大博覧会のパンフの裏表紙画像

 

最後に、

こういう博覧会を拝見し、一流のプロデューサー、クリエイターの皆さんの心血を注いだ仕事に触れると、一介のデザイナーとはいえ、改めて感じることが沢山ありました。毎回お仕事をいただく度に、最高傑作を作ろう!と意気込んではいますが、時間だったり、お金の話だったり、大人の事情がいろいろからんできて、中々思うようにできないのも事実。

だけど、ただ良いものを作ることに一生懸命になりたいですし、どうすればそういう環境を作れるのかを今一度考え直す良い機会をいただきました。それをふまえつつ、自分も世界に愛される、後世に残る作品に関わることができるよう、今後も努力していきたいと思います。

観覧を終え、今回の博覧会の関係者皆様に感謝の念を抱くと共に、まだ観ぬジブリ作品を、近々まとめて鑑賞しようと強く思った博多での一日でした。良い想い出になったなぁ。

●掲載しているパンフレットや各展示物はスタジオジブリの著作物です。 ©2015 Studio Ghibli

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