ロゴデザインのはなし。本当はロゴマークとは言わないのだ。

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そもそもロゴとは?

日本ではひとまとめに「ロゴ」や「ロゴマーク」と言われていますが、本来はシンボルマークとロゴタイプに分かれています。シンボルマークとは、その家系、会社、団体、個人などを象徴する意匠、マークのこと。日本の家紋やヨーロッパの紋章なども含まれます。

ロゴタイプは図案化された文字、文字列のことで、団体名、商号、商品名、雑誌名、書名などを印刷、表示する際に使用されます。ちなみに、「シンボルマーク」というのも実は和製英語なの知ってました?まぁ、象徴的なマークということだと思います。

海外では、単にマークというか、ビジネスに使用するものはトレードマークと言います。以下のように、マーク+ロゴタイプという形も多いのですが、こういったものも含めて、企業のマーク、ロゴタイプなどはまとめてロゴと言えば通じるようです。

 

シンボルマークとロゴタイプの説明画像

 

マークとロゴタイプを別々に作って組み合わせる他に、シンボルマークに文字を組み込む、ロゴタイプの一部をマーク化するといったデザインもあります。

●シンボルマークの特徴

シンボルマークは絵的に捉えられるので、言語にも左右されず、一瞬で印象に残りやすい特徴があります。また、象徴として様々な意味を持たせることもできます。

●ロゴタイプの特徴

ロゴタイプは文字列を装飾したものなので、名前や意味など情報として伝えるのに向いています。ANTENNA GDSでいえば、①のシンボルマークで頭文字の「A」、時流を意味する「ウェーブ」、「無限」の可能性を象徴し、②のロゴタイプで「antenna」「Graphic Design Studio」という名称と業種を情報として伝えています。

ちなみに、「アンテナ」に込めた意味はこちらをご覧ください。>>屋号アンテナの由来とロゴデザイン

有名なシンボルマーク例

【Apple】
iPodやiPhoneの登場により、世界的に認知される企業となったアップルコンピューターは、現在「Apple」という表記を使わずにシンボルマークのみを使用するケースが多く、認知度の低いブランドではできないイメージを重視したビジュアル戦略を進めています。マークのデザインでいえば、全て黄金比を使って計算され尽くしたデザインであることはデザイナー界隈では有名な話です。もしご興味ある方は「アップル マーク 黄金比」などで検索してみてください。

 

【大丸百貨店】
その他にも、「大」を「○」で囲んだマークで有名な老舗百貨店「大丸百貨店」では、

「大という字は、一と人を合わせたもので、丸は宇宙・天下を示す」ことから、

天下第一の商人であれという業祖・下村彦右衛門正啓の志と決意が込められたもの

と伝えられています。

さらに、マークの筆文字をデザイン処理した「大」のかすれを表現した部分の線数が縁起が良い「七・五・三」となっていたりします。商売やお客様の繁盛を願ったデザインといえるでしょう。この話はうん十年前に僕が専門学校に通っていた頃担任の先生に聞いた話で、「へぇぇ〜おもしろい!」と思って今でも覚えています。

【ソフトバンク】
銀色の二本線「=」で有名なソフトバンクは、坂本龍馬の海援隊隊旗がモチーフ。坂本龍馬の時代の一歩先を洞察する思考力と、それを実現させる実行能力をソフトバンクグループの企業活動の在り方として表現しており、そのカラーには「自らが光る」シルバーが採用され、自らが興し行動するという、まさに孫正義さんの人生観を反映したような理念が込められています。

大事なのは表現すべきコンセプトを明確にすること

ロゴデザインやデザイン全般について、デザイナーがその感覚で格好いい形や綺麗な色を追求するというように考えている方が多いかもしれません。では、なぜデザインをするのでしょうか。デザインは人に伝えたいことがあったり、認知を広めたり、より使い易い形にするというような様々な目的があります。

その目的を達成するためには、まず伝えるべきは何かや、誰に届けたいのか、どういった所で使われるのかなど、求められる要件をピックアップし、コンセプトを明確にすることから全てが始まるのです。その上で強く美しいデザインをデザイナーの感性をもって様々な方法で視覚化したり、造形していく。デザインとはそもそも「設計」を意味します。決して感覚だけのたまものではありません。

しかし、逆に理屈だけでも人の心には残りません。きっと、何をコミュニケーションするのかという理論の部分と、どう表現するのかというアートな部分の融合こそが、良いデザイン、ヴィジュアルコミュニケーションには必要なのだと思います。

先に述べたとおり、ロゴデザインには様々な思いが込められています。それをシンプルな形に落とし込み、人々の印象に残るようにアイデアをプラスし、仕上げる。グラフィックデザインの領域において、僕はこのロゴデザインが大好きです。

飾り立てる装飾的デザインよりも、本当に伝えるべきは何かをつきつめ、無限の線の中から美しさや強さを求めてその1本を探す。何度も何度もスケッチを描き、アイデアをひねり、プランを広げ、そして精査してようやく出来上がったデザインにはいつも喜びを覚えます。

作品のタイトルロゴであれば、その作品がファンの心に留まっている間、企業やブランドのロゴであれば、そのビジネスが存在する間、愛され続けるような作品を生み出せたなら、デザイナーとしてこんなに嬉しく誇らしいことはありません。

今回は、主にブランドや企業などのロゴデザイン中心のお話となりましたが、また別の機会にてコンテンツ系のタイトルロゴデザインのお話もしたいと思います。基本的な考え方は同じですが、少し独特の内容も含まれますので、ぜひご期待ください。

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